『Sport JUST』2002年9月号より  −続き−

<水上博司>(三重大学)(P.P.18-19)
●スポーツ少年団の指導者はもっと広い視野が必要
 
私は,実際にスポーツ少年団を指導しているという立場ではなく,少年団の研修会や講習会などに
  おいて,啓発をしていくという立場です。ただ,そうはいっても,我々の側,第三者から見る,スポーツ
  少年団の現状と,実際に熱心に活動している方々の肉声とのギャップを感覚として忘れないようにし
  ながら,活動をしていこうと考えております。
  総合型クラブ構想が出始めた当初「スポーツ少年団が消滅する」と言っていた指導者が多くいました
  し,残念ながら現在もまだいます。そのような背景には指導者の固定化した考え方があります。現在
  の子どものスポーツ環境がどうなっているのか,自ら勉強して,あるべき子どもの指導の姿を自分な
  りに整理をしている指導者が少ないと思います。
  総合型クラブの構想とは,少年団創設の原点の構想(昭和37年)と,ある意味よく似ています。
  つまり,主たるスポーツ活動,レクリェーション活動,体力測定,社会活動・文化活動などの活動内容
  を,それぞれがもう一度見つめ直し確認することが必要です。
  いまだに,眼を覆いたくなる指導者(運動部型モデル。早期にレギュラーを固定,年に数度の大会で
  勝利を目指す勝利至上主義)が中心となっている少年団は間違いなく消滅すると思います。
  一方で非常によく勉強している指導者もおり,そういう方々からは,消滅するなんて話は出てきません
  し,彼らがこれからリードしていくべきだと思います。
  また,みんなで意志決定をするということが大切でしょう。
  一人や二人ではなく,いろいろな垣根を越えた団体と,ときにはスポーツ以外の団体とも,みんなで意
  志決定をしていかなければいけない。総合型クラブに入っている子どもたちを,そこに配置されている
  指導者がみんなで育てること,これは民主的にスポーツを推進していくんだということを確認する意味
  でも,有効であると思います。

●スポーツ少年団のシステムの問題点
 
スポーツ少年団は中学校や高校の運動部と違って,純粋なメンバーシップ制だという特徴があります。
  やりたい人が登録さえすればできる。これは極めて自由度が高い,すばらしいシステムだと思います。
  総合型クラブというのも,まさしくこれだと思うわけです。学校や企業といった母体があるわけではなく
  て,純粋なメンバーシップ制でやっている。
  ただし,スポーツ少年団には,複合種目型だけではなく,単一種目型の登録もあり,一部では,勝利至
  上主義的な活動に終始している団もあります。つまり,サッカーはサッカーだけ,バレーボールならバ
  レーボールだけといった具合に,学校の運動部活動のような,選手養成機関的な活動もあるということ
  です。
  そういった体制の中にいる指導者は,総合型クラブの多種目とか多志向については,その理念は否定
  はしないでしょう。しかし,では総合型に踏み出すのかといわれれば,そうなればいいですねという願望
  あるいは希望の範囲の回答にしかならないのではと思われます。

●やる気のある若い指導者を前面に出していくことが必要